読書メモ「アンガーマネジメント入門」

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アンガーマネジメント入門を読んだ。

アンガーマネジメントの概要 🔗

アンガーマネジメントは行動の修正と認識の修正を基礎としている。 行動の修正は衝動のコントロールとコミュニケーションの修正に細分化される。 認識の修正には基本と応用がある。 全体像としては以下のようになる。

  1. 行動の修正
    1. 衝動のコントロール
    2. コミュニケーションの修正
  2. 認識の修正
    1. 基本の認識の修正
    2. 応用の認識の修正

行動の修正 🔗

行動の修正とは、怒りを感じた後、対人関係に問題を起こしてしまう行動をとらないようにすること。

衝動のコントロール 🔗

衝動のコントロールは、怒りを感じたときに、怒りのままに振る舞いたくなる衝動を抑え込むこと。いくつかのテクニックがある。

ストップシンキング 🔗

怒りの感情のもとになる出来事の意味づけや、思考そのものを停止する。 怒りの発端になった出来事の理由や原因、この先どうするかといったこともふくめて一切のことを考えないようにする。

ディレイテクニック 🔗

怒りの反応を遅らせるテクニック。以下のような方法がある。

  1. 何も考えないようにする(ストップシンキング)
  2. 深呼吸を繰り返す
  3. 「100, 97, 94…」といったように100から3ずつ引いた値を計算し続ける
  4. 「One hundred, Ninety nine, Ninety eight…」といったように英語で100から逆順に数を数える

コーピングマントラ 🔗

自分を落ち着かせたり、勇気づけたりする言葉(=コーピングマントラ)を頭の中で唱える。 一般的なコーピングマントラは以下のようなもの。

  1. 「大丈夫、なんとかなるさ」
  2. 「もっとつらいことを乗り越えてきた」
  3. 「1か月後には忘れてる」
  4. 「こんなことぐらいでは負けない」
  5. 「よい勉強の機会だ」
  6. 「降り止まない雨はない」
  7. 「自分も、自分の感情をコントロールできる」

特に対人関係で怒りが生じそうなときに使えるコーピングマントラは以下のようなもの。

  1. 「相手も悪気があるわけじゃないん」
  2. 「悪く受け取るのはやめよう。聞かなければ本心はわからない」
  3. 「自分がノーと言って良いように、相手もノーと言って良い」
  4. 「悪口を言っても意味がない。前向きな言葉を考えよう」
  5. 「長い目で見て、自分にとって最も建設的な解決方法を考えよう」
  6. 「怒ってもなんの得にもならない」

コーピングマントラが必ずしも言葉である必要はない。右手をグーパーさせるなどジェスチャーでもかまわない。

グラウンディング 🔗

思考を「今」「この場所」へクギ付けにすること。例えば手に持っているペンを徹底的に観察してみる。

タイムアウト 🔗

相手と合意を取って冷静になるための時間を置く。

コミュニケーションの修正 🔗

コミュニケーションの修正とは、怒ったとしても怒りをそのまま相手へぶつけないようにすること。 怒りの背後には伝えたい気持ちがある。その気持を適切に伝えることで対人関係の問題が起きることを防ぐ。

どのように伝えるか 🔗

とにかく穏やかで丁寧に伝えることを心がける。

何を伝えるか 🔗

以下のルールを守る。

  1. 「絶対」「いつも」「必ず」を使わない
  2. 決めつけない・レッテルを貼らない
  3. 大げさに言わない
  4. 「べき」に気をつける
  5. 相手を責める言葉を使わない
  6. 主語を「私」にする

認識の修正 🔗

認識の修正は、そもそも怒りが発生しにくいように考え方を変えること。

基本の認識の修正 🔗

自分の怒りを客観視してよく知ることで、対処しやすくする。

スケールテクニック 🔗

怒りの強さを自分なりに測ってみること。怒りの強さがわかると目の前の怒りに対処しやすくなる。 レベル1が軽いイライラ・不愉快・不快感、レベル10が人生最大の怒りといったように強さのスケールを定め、怒りを感じたときに強さを考える。 この訓練をするとだんだんと怒りを客観視できるようになる。

アンガーログ 🔗

怒りを記録することで客観視できるようにする。怒りを感じたら以下のことを記録する。

  1. 日時
  2. 出来事
  3. 思ったこと
  4. 感情
  5. 感情の強さ
  6. 行動
  7. 結果

「記録しなければ」という怒り以外のことに目を向けることで、怒りを抑えることもアンガーログをつける目的のひとつ。

ストレスログ 🔗

ストレスが多い環境にいれば怒りやすくなる。怒りだけでなく、ストレスも記録する。 ストレスは重要かどうかと自分で変えられるかどうかの2軸で分類できる。重要かつ自分で変えられるものにフォーカスして解消するようにする。 自分で変えられないものは受け入れる。

応用の認識の修正 🔗

コアビリーフ 🔗

コアビリーフは自分が一番正しいと信じていることや、「〜すべき」だと思っていること。 コアビリーフが歪んでいると怒りが生まれやすくなる。 コアビリーフの歪みを確認するためには、3コラムテクニックを使うと良い。 具体的には怒りを感じたときのことを思い出し、次の3つを書き出してみる。

コラム内容
はじめに思ったことその出来事に対して最初に怒りを感じ、思ったこと。
認識のエラー認識の歪みを疑う。どのようなコアビリーフにもとづいてその認識がなされたのかも考える。
リフレーム(言い換え)出来事をプラスにとらえるためにはどうすればよいのか、そのために必要なコアビリーフはどのようなものかを考える。その上でどのようなアクションが起こせるかを考える。

3コラムテクニックを実践することで、怒りをコントロールするために必要な考え方、具体的なアクションを理解できる。

トリガー思考 🔗

トリガー思考とは、怒りが表に出るきっかけとなる考え方。 アンガーログのうち「思ったこと」「感情」「結果」を観察すると、なんども同じトリガーが表れるはず。 一般的なトリガーは以下のようなもの。

  1. バカにされた
  2. 利用された
  3. 無視された
  4. 認めてもらえない
  5. etc…

トリガー思考は過去の経験から形作られている。今後も同じように繰り返されるわけではないので、とらわれすぎないようにする。